オーダーメイドのスーツ、シャツ、シューズ等のビジネスをなさっている30代&40代のご経営者
・経営幹部の皆様方に向けて、ボクはずっとメッセージを送っているつもりです。
ですから、今後ご子息に経営をバトンタッチされる予定の50代・60代・70代のご経営者様にも
ご理解いただき、できればご本人様まで伝えていただきたい内容でもあります。
さて、皆さんに質問です。
『日本メンズスーツ業界の10年後・20年後の姿って いったいどうなるとお考えですか?』
いま40歳の方も、あと20年は働かないとダメなんです。いま30代の方は、あと30年くらい
(労働人口減少×高齢者増大により)。そのとき我々の業界はどうなっているのでしょうか?
今から10年前の1999年時点では、『ザ・スーツカ○パ○ー』みたいなツープライスショップは
まだ日本全国でほんの数店舗しかありませんでした。でも、10年後の今は大手4社だけで
100店舗以上あり、中にはたった1店舗で年間10億円以上の売上を叩き出すショップまで
現れています。1着30,000円未満のスーツが恐ろしく大量に販売されているのです。
確かに品質も高まっていますが、世間の方が持つ“スーツ”という商品の価値感がこの10年
でさらに大幅に引き下げられたことは事実です。もちろん、郊外型専門店の大手4~5社が
勝手にやってしまった行為です。が、この動きを防ぐことができなかったその他企業の努力
不足という見方もできます。このまま進むと、どうなるでしょうか?
彼らの武器は“スケールメリット”です。そこにヒト・モノ・カネ・情報の全てが集まる。とてつも
ない規模なのでイメージしにくいのかも知れませんが、多くの方が、かなり曖昧にしか数字を
把握していないことを、これまでにボクは体感してきました。なのでちょっと書きます。
『ザ・スーツカ○パ○ー』は、1店舗平均でたしか6億くらい売ってたと思います。(もしかすると
1~2年前のデータかも知れません。ご了承ください。)
売上構成比で6割がスーツとして、スーツ1着の平均単価が25,000円だとすると、
6億 × 60% = 3.6億 3.6億 ÷ 2.5万 = 1万4,400着
まあ、かなりアバウトな計算でありあくまでも仮説ですが、でもどれだけ少なく見ても、
1店舗当たり1万着以上は確実に売っているはずです。
何が言いたいのか?
基本的に、『モノ』を販売するにはサプライチェーン(供給網)が必要不可欠です。
要するにメーカーや問屋の存在です。
そして彼らは、基本的に『量』が動かないと成り立たないビジネスなのです。
(本当はそのビジネスモデルも、徐々に見直さねばいけません。)
それなりに設備が整っている生地メーカーや縫製工場にとっては、20万円のスーツが
1000着売れるよりも、少々安くても何万という着数が売れるほうが、基本的にはいい。
つまり、生地メーカーや縫製工場や問屋にとっては量販系ビジネスが実は命の恩人。
・・・ということで、このままの状態(量で勝負するビジネスモデル)が続くと中小規模の
小売事業者はもちろんのこと、大手4~5社のサプライチェーンに入れなかった国内の
縫製工場・各種素材の商社・・・等の倒産が出始め、日本の業界がもっと縮小します。
『今だけで精一杯』とか『1~2年後くらいしか見えない』で大丈夫でしょうか?
一緒に、10年後・20年後を見ませんか?