先日、林業・製材(木材)業界の経営者が集う研究会にてゲストスピーカーとして招待され、
30分ほどお話をしてきました。ボクにとってまったくの異分野ですが、この研究会の主催者が
前職のコンサル会社時代の後輩で、ともに衰退期に該当する業界で「高付加価値づくり」を
テーマとしたコンサルティングをしてきた仲なので、その関係性で依頼された次第です。
(※ボクは紳士服業界。念のため。)
↑前で話してるのがワタクシ(優秀な後輩の先輩)
もちろん異なる部分を挙げればキリがないのですが、共有できる部分は意外と多いのです。
それを、実際に話を聞いてくださった皆様のコメントからも、逆に改めて教えていただけました。
これはたぶん、ほとんどの業種に当てはまるのだろうと思います。
●参加者のご感想A
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紳士服業界と木材業界。全然違う業界なのに共通点がいっぱい。
多様化するニーズの中で、選択と集中によって圧倒的なブランド力を手に入れて、
素材メーカーにもかかわらずゼニアは一人勝ち状態。
イメージ戦略とコミュニケーション力が決め手になる。
さらに情報発信によってニーズを作り出していく。商品が違っても手法は同じ。
今度、紳士服店へ行って勉強してきます。
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●参加者のご感想B
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昨日の研究会へは、スペシャルゲストとして、オーダーメイドスーツの
ブランディング・マーケティングを手掛けておられる方が講演してくださった。
紳士服業界も、市場規模は縮小の一途。ニーズが多様化する中で、
一方で「素材」のことなど、わかっている消費者は少なく、販売員が
選択肢を提示してあげ、しっかりとコミュニケーションを取っていくことが
大事。
そして販売員に負担をかけ過ぎず、作り手も臨機応変に動き、
川下~川中~川下の協力をしていくこと。
これって、まさしく、林業~住宅業界と同じ構図で驚いた。
林業界ばかり見ていると、その世界だけでどうしたらよいかもがき、
考えがちで、本当にそれが正しいのか、時には見えなくなることも
あるだろう。
そこを、他の業界を見てみると、自分の業界を客観的に見ることができ、
また類似点や違う点を洗い出し、今の方向性に納得したり、
改善点が見つかる。
そういった意味で、今日のゲストはとてもよかったと思う。
スーツ生地の工場=山・製材販売員=工務店
そうやって置き換えてみることも、頭の整理になった。
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大変ありがたいご感想です。
(後輩が送ってくれました)
お伝えしたかったことが、しっかり伝わっていたことにもほっとひと安心しました。
そう、ボクが20年近く見てきている紳士服業界は、
かなりいい事例が詰まっているのです。
あまりにも急激に変化してきた業界なので、他の業界がそこから学ぶことは多いはず
なんですね。ボク自身も、紳士服業界のコンサルティングをやりながら他業種の
コンサルも受注し始めたころ、とてもやりやすいことに気付いた時期がありました。
シンプルに言えば、こんな感じです。
①戦後、「服をつくる技術」を持つ会社がどんどん成長した。
②その後、「服を大量に売る技術」を持つ会社がどんどん成長した。
③でも、「服をつくる技術」側はずーーっとのんびり過ごしてきた。
なぜなら、「客層」も「使用素材」も「販売価格」もすべてが全然違う世界だったため。
確かにそうだった。変化はゆるやかだった。
④そんな中、②の競争激化はどんどんどんどん進んだ。
⑤そして・・・・・・、「服をつくる技術」を持つ会社は激減し、「服を大量に売る技術」を持つ
会社の中では一部の圧倒的勝利がほぼ確定し、全社とも成長は停滞中・・・。
①~⑤のストーリーがいったい何を物語っているのか。
それは、『あったはずの“価値”がどんどん無くなっていった』っていうストーリー。
考えれば考えるほど、とてもおそろしいストーリーですよね?
でも、事実なんです。競争してるだけでもダメ。技術を守ってるだけでもダメ。
そんなことが凝縮された業界なのです、紳士服業界は。
で、そんな業界でボクがコンサル支援によってクライアントの業績を実際に伸ばすことが
できているのは、やはり『高付加価値づくり』なんです。
まさに当り前中の当り前なんですが“経済活動”の基本は“価値”と“通貨”の交換。
“価値”を高めない限り、利益を増やすことはありえないのです。
『高付加価値づくり』の内容やプロセスは業種ごとに違ってくると思いますが、どんな業種・
業界であっても各社で取り組むべきこと・業界全体で取り組むべきこと、などを
しっかり整理して考えやっていけばきっと道が見えてくるだろうと思います。
古くからある衰退業種でも、必ず何か道があるはず・・・です。
信じて、頑張っていきましょう!