「改革」と「改善」の違いについて

コンサルティング活動において、経営者が進める「改革」を支援する中で、 幹部社員や
ベテラン社員さんから次のような質問をよく受けます。
(実は、先日もある会社のMさんから言われました)

  『石本さん、うちの会社で今までやれて(やって)なかったことがだんだんやれるように
   なってきてます。けっこういい感じです!だから・・・、そんなに次から次へと新しい
   アクションを起こさなくても、まずはこの状態を頑張るだけでいいんじゃないですかねぇ?
   現場も大変ですよ、一気に色んなことを変えていくのは。。。 』

思い返せば、本当に今まで何回同じような発言を聞いたんだろう・・・ と、ちょっと逆に
ニヤけてしまうほど、そのくらいよく聞いた話です。
たしかに一理はあります。現場は大変でしょう、たしかに。 “部下思い”の、いい上司・・・
なのかも知れません。 でも、こういう発言をする方は、残念ながらイマイチなんですね。
“会社を引っ張っていくリーダー”としては、ちょっとイマイチです。
(補足しておきます。イマイチというのは、正確には「今一歩不足している」という言葉 だと
思います。なので、「あともう一段階段を上がってね!」という意味です。 「惜しい!」って
いう感じですね。・・・ということで、誤解なく。)

経営者が「会社を改革したい!」と思う時、或いは「改革せねば!」 と考えている時は、
たしかに事業内容とか商品内容とか営業手法など そういうマーケティング的な領域の話が
メインになりがちですが、 でも実は根本的にはそれがメインではない・・・はずです。

では何でしょうか?

実は、、、「組織」とか「人材」の話がメインであるはず。 再度聞きます。なぜでしょうか?
それは「会社=組織」だからです。当り前中の当り前ですが。
経営者が、『あぁ~、ワタシの言動だけでは、なかなか目指している ゴール(目標)に近付け
ないなぁ・・・・・・ガーーーーン!!』 と痛感した時、「うちの会社は今のままではダメだぁ!」
って衝撃がピークに達して、『改革』に着手し起し始めるのです。

そう、これは“人”の問題です。 経営者の言動によって会社がスムーズに回っている場合は、
経営者の口から「改革」なんて言葉は出ないのです。おそらく「改善」 という言葉が使われて
いるはず。経営者が「改革」をよく口にして いたら、本気でヤバいと思っている証拠ですね。

そう、「改革」と「改善」は全く別物なのです。 でも、なぜかいつも経営者以下の幹部や
ベテラン社員さんたちは、 この「改革」を「改善」という認識で捉えがちなんです。
「改善」は、悪い所を良くする・・・という意味合いで、基本的に大部分を 肯定的に見ている
捉え方です。「だいたい出来てる。出来てない ところだけ直せばいいんでしょ。」みたいな。

もうお分かりいただけたと思います。そ、違うんです。
経営者が声を大きくして「改革」とか「革命」とか言い始めたら、もっと もっと根本的な見直しの
話をしているのです。 会社に所属している人間の「意識」とか「価値感」とか「目標」とか、
そういうものを根本的に見直し、「心」と「実際の言動」をまったく新しく 入れ替えてもらわねば
ならない状況になっているわけです。

ではでは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ それは会社の中の「誰」なのでしょうか?
会社の中の「全員」が対象でしょうか? これももうお気づきでしょう。
実は、経営者が「これじゃあダメだぁ!!!!!」ってわめき散らしたく なるのは、上層部の
リーダーたちの言動が経営者の思惑から大きく 乖離している時なのです。
これが最高に辛い瞬間でもありますが。

—–ということで今日は終わります。
冒頭の幹部 さんの発言がイマイチだった理由も明解になったことと思います。
経営者は「改革」を求めているのに、彼は「改善」の話をしているだけなのです。
この話の続きはまた今後に。

こういう問題に対し、当社ではどうするかを 書かせていただこうと思います。